作り手の”良いバイブレーション”が日常を彩る。

高須さんが葉山の地でSUNSHINE+CLOUDをスタートしたのは1995年。2013年に現在の場所に移転し、アパレルのみならずインテリアや植物など、ライフスタイルをカバーしたアイテムを展開している。オリジナルラインだけでなく、高須さんがセレクトするアイテムは”作り手のバイブレーションが良い”ということが基準に選ばれている。同じ敷地内のカフェ＜OVER EASY＞では世代を問わず、地元の方がのんびりとした時間を過ごしているそう。

「この辺では部屋に花を飾る方も多いし、そうなってくると必然的に”良い”花瓶が必要になってくるよね。ものを集めていまの形になったわけじゃなくて、生活に必要だと思うものを集めたら今の形になった。『ライフスタイルに沿って必要なアイテムを展開する』という視点で店作りはしていないですね。」

高須さんが手がけるショップは葉山の他に代官山と、奄美にある。その思い切った店舗展開に、単なるアザーショップというよりは、ひとつの大きなプロジェクトのように感じる。白い砂浜に青い海。完全に観光地化されていない奄美は、その素朴さとダイナミックな自然に魅了される人が多く、奄美のショップへ年に何度も足を運ぶ顧客もいるそうだ。

肩の力を抜いて心地よく、自分自身の”好き”に従う。

自身の好きという思いをセンサーに動き、一貫したスタイルを持つ高須さんは”こだわり”という言葉をあまり使わない。
「自分が好きか、好きじゃないか。人がどうかより、自分自身がどう思うかっていうのが基準。人に文句を言われてもあんまり気にならないかな。こだわりっていう言葉が好きじゃないのは、なんかちっちゃくなるじゃない、『絶対こうじゃなきゃ』っていうの。単純に好き嫌いははっきりしてる。」
ものづくりをする際にもルールを設けず、独自の感性に従う。
「例えばTシャツとか、おおらかでありたい服はおおらかな国で作った方がいいんです。ちょっとヨレていても、それがそのTシャツの良さになるから。そういう場合はアメリカで生産するんだよね。日本で生産するとやっぱりいい基準にしようと思うから、綺麗に上がりすぎちゃう。」

その土地や作り手の人柄が生産されたものに表れる、それが高須さんの見解だ。
「女性らしいアイテムは、女性が中心の縫製工場にお願いした方がいいとか。作りたいものに合わせて依頼する場所を変える。他の人がどういう考えで作っているか分からないけれど、そのちょっとしたことが、とても大切だと思う。」
海の波や心地の良い潮風を感じたときに躊躇せず思い切りリラックスできる、人にも自然にも寄り添った服。” ちょっとしたこと”から作り手の温かみを感じられるからこそ、高須さんが手がける服は多くの顧客から支持を得ている。

大学時代をサンタバーバラの広大なキャンパスで過ごした高須さん。SUNSHINE+CLOUDの印象的な色彩は、西海岸のプレイフルな色使いから影響を受けているという。帰国後、1992年代官山に「G.O.D.」をオープン。当時逗子に住んでいた高須さんが2店舗目を東京ではなく葉山に構えたのは、”人混みが苦手だから”。
「東京だと自分が普段着ているものとちょっと違って、例えば裸足だったものが靴下履くとか。ゴムのビーサンが革のサンダルになったり。葉山だったらもっと自分の暮らしに近い感じにできるかなと思って。よく代官山を歩いていると『海に行く格好みたい』って言われるんだけど。いや、海から来てるんだよね。」

ものづくりからコミュニティへ。居心地の良い場所と、穏やかな時間を提供。

敷地をゆったり使うことにより、コミュニティが自然発生的に生じるのは、SUNSHINE+CLOUDとNEWoMan横浜の共通点でもある。やわらかな緑あふれる開放的な空間は、地元の人や観光に訪れた人にとって、特別なスポットだ。

「(葉山店が)移転する前は小さいお店だったし、結構こっそりやってた感じ。昔のお店の在り方と比べると、今はただ単に買い物だけじゃなく、ゆったりとした時間を過ごせる”場所”や”コミュニティ”をお客さんが望んでいる。求められているものがだんだん変わってきてますね。建築家・田根剛さんが手掛けたNEWoMan横浜の間の取り方とか、館自体の入りやすさとか、すごくいいなと思っています。ラグジュアリーブランドやアパレルのテナントさんが多い中で、2416MARKETのマーケットらしいフェスティバル的な賑わいがどんどん出てくるのはとても楽しみだし、僕らがやらせていただいている場所はなるべく盛り上げていけるように、できる限りのことをしていきたい。これからいろんな部分が派生して、もっと面白いものが出てくるんじゃないかなと期待しています。」